第13回(2002.02.06更新)

君は不滅の天皇巨星 王羽ことジミー・ウォングを知っているか?

→「片腕ドラゴン」シリーズ ビデオ/DVDジャケットはこちら
  1974年2月8日の国内劇場初公開から、2000年12月に国内初ビデオ化(英語版/スタンダードサイズ収録)されるまでの約26年間、マニアの間で密かに、そして面白おかしく語られ続けてきた伝説の作品。その名は「片腕ドラゴン」!(獨臂拳王/ONE-ARMED BOXER) ついにDVDにて登場である。
昨今のDVDバブル、リリースラッシュに後押しされ、その勢いでDVD化された感もあるが、限りなく劇場公開時に近いシネスコ版(ノンスクイーズ)でのリリースがうれしい。
1973年12月に公開された「燃えよドラゴン」の一大ブームに湧く中、1974年2月8日にブルース・リーに続けとばかりに国内公開されたカラテ映画であるが、「燃えドラ」を「荒野の用心棒」とすれば、「片腕ドラゴン」は「続・荒野の用心棒」。同じく「燃えドラ」を「ゴジラ」とすれば、「片腕ドラゴン」は「ガメラ」、「エクソシスト」とすれば「ヘルハウス」、「ジェームズ・ボンド」とすれば「ナポレオン・ソロ」、「ビートルズ」とすれば「モンキーズ」という感じであろうか。なんだか、よくわかるような、わからないような例えではあるが、とにかく決してただの二番煎じではない映画という事である。

悪役で一番強い沖縄カラテの使い手(二谷太郎という日本人の設定)には、何故かキバがある。そうこれは、悪い奴は、徹底的に悪く描き、いい奴は、徹底的に優しく強く描くという事を、大胆に見事に(…?)映像化している顕著な例である。
倒されても、パンチングボールのようにスーッと起き上がってしまうシーンや、アジア悪役武道家連合のすさまじく強烈なキャラは、あのソニー千葉もかすんでしまうほどの、重量級の衝撃。
しかし、この一見、思わず笑ってしまうほどの荒唐無稽なストーリーを救っているのが、実はジミー・ウォングというキャラクターであり、その母性本能をくすぐり、思わずかばいたくなるような優しく涼し気な顔立ち、立ち向かう時のきりりとした落ち着いた物腰など、そのくどさのないさわやかなキャラクターは、この濃い映画になんとも不思議な中和剤のような役目を果たしている。痛みに耐えながら残された片腕を鋼鉄のように鍛えるシーンなど、冷静に考えると非常に奇妙なシーンなのだが、なぜか、許してしまう…。
これをブルース・リーがやったら(絶対、やらんだろうが)、それこそ「お茶〜」を飲んで「熱ちゃ〜」と言っている清水アキラになってしまうだろうな〜、としみじみ思うのである。

映画は、所詮見世物とわりきっている潔さと、自分のキャラを十二分に理解しているしたたかさにうたれ、唐突なエンディング後は、凄いもの見せてもらっちゃったな〜と、不思議な気分になってしまうのである。
ブルース・リーが71年に「唐山大兄」(ドラゴン危機一発)でデビューする以前の香港映画界に不滅の天皇巨星として君臨していたのが王羽(ワン・ユー)ことジミー・ウォングであったのは紛れもない事実。やはりタダモノではないのである、この人というか、この映画は…。(実際に、ジミー・ウォングは、外見とは違い黒社会でもかなりのこわものらしい。)
さらに約26年間、ビデオ化もされず封印されてきたのは、荒唐無稽なストーリーだけではなく、ひとえにこのタイトルのためと思われる。今回のDVDパッケージの裏面にも「タイトルを含め、不適当と思われる表現うんぬん」 と記載があるが、果たして大丈夫なのであろうか?怪奇大作戦「狂鬼人間」LDの二の舞にならないうちに早めにゲットした方が良さそうである。

今回のデジタルニューマスターDVD化では、71年「黒いジャガー/シャフトのテーマ」をそのままパクッたといわれている北京語版音声のタイトルバックテーマ曲もそのまま収録。さらには貴重な香港オリジナル劇場予告編まで収録されている逸品。

続編「片腕カンフー対空とぶギロチン」は、はるか昔にビデオ化されている。
→「片腕カンフー対空とぶギロチン」はこちら
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■王羽(ワン・ユー)/ジミー・ウォング エピソード2
  1970年、勝新に招かれ出演した座頭市シリーズ第22作「新座頭市 破れ!唐人剣」

当時の王羽(ジミー・ウォング)は、日本における知名度はゼロであったが、役柄上からもその寂し気な表情、内に秘めた強さなど、魅力的なキャラクターとして日本の映画ファンの心に強く残ったのである。
コメディリリーフ役のてんぷくトリオや、南原宏治演ずる悪玉和尚(覚全)などの脇役も充実した座頭市幻のおすすめ作品。

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→勝プロダクション 若山富三郎主演「子連れ狼」はこちら

ふたりともハンディキャップを持ったキャラクターという事、権利関係が複雑な事、香港で公開された座頭市破れるバージョンのフィルムが所在不明な事などから、日本はおろか香港、台湾などの東南アジア各国でも一切ビデオ化されていないという状況である(現在、市場に出回っているのは、アメリカの日系人を対象に売られている海賊版ビデオか、国内の衛星チャンネルで放送されたもののダビングテープ)。
※イギリスにて2002年2月25日、PAL方式のDVD・ビデオ発売されました。(02.04.02加筆)
 
■ジミー・ウォング 主な主演作品
  1967年「獨臂刀」
1969年「獨臂刀王」「龍虎門/吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」
1970年「獨臂刀大戰盲侠/新座頭市・破れ!唐人剣」(日本映画)
1972年「獨臂拳王/片腕ドラゴン」
1973年「冷面虎」「いれずみドラゴン・嵐の血斗」「追命槍/戦国水滸伝・嵐を呼ぶ必殺剣」「黒白道/ドラゴン武芸帖」
1974年「怒れるドラゴン・不死身の四天王」
1975年「スカイ・ハイ」
1975年「獨臂拳王大戰血滴子/片腕カンフー対空とぶギロチン」
1977年「キラー・ドラゴン流星拳」
1979年「獨臂拳王勇戰楚門九子」
1982年「ドラゴン特攻隊」
1984年「上海13」
1986年「上海エクスプレス」
1987年「The Thundering Ninja/機密ファイル奪回作戦ニンジャ・ファイター」
1991年「火焼島/炎の大捜査線」(製作総指揮・出演)
1992年「千人斬/ジョイ・ウォンの妖女伝説」
1993年「極東黒社会」(日本映画)
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