第25回(2005.03.12更新)

「100発100中」の男! 君はアンドリュー星野を知っているか?
「007/サンダーボール作戦」「リオの男」、そして「ルパン三世」! 〜

007シリーズを発端とする世界的なスパイアクション映画ブームの中、1965年12月5日、東宝により製作公開された福田純監督作品「100発100中」。
スパイアクション映画にコメディ要素をプラスしたコミック風アクション映画で、暗黒街シリーズ、国際秘密警察シリーズといった東宝スパイアクション映画の中でも、特に人気が高い作品だ。

キザでマザコンの日系フランス三世、自称アンドリュー星野。一見とぼけた男だが、実は拳銃密売グループのボス、ムッシュ・ルボワを探す凄腕?の男、宝田明。
キザだが決してイヤミではなく、頼りなさげなマザコン男だが締める所はきちっと締めるという、非常にマンガチックなキャラを、いとも自然にこなす宝田明。本作こそ、俳優、宝田明のベストワークといっても良いだろう。

「ゴジラFINAL WARS」にて、国連事務総長が、「これでも昔は、100発100中と言われた男だ…」という、ごく一部のオジサン世代しか、その意味を理解できなかった台詞がある事から、彼が後の姿か?
(また、東京ディズニーランドのカントリーベア・シアターの美声の熊のリーダー、ヘンリーとも呼ばれ、香港ではホウデンミンとも呼ばれている…)。

そして、このアンドリュー星野にからむのが、爆弾を自在に操る、ビキニ姿も眼によろしいセクシーな殺し屋、沢田ユミ(浜美枝)と、切れ者のようなのだが、肝心な所で同じ失敗を繰り返して、笑いをとる、ではなくドジを踏む、手塚部長刑事(有島一郎)。

1965年12月、ほぼ同時期に公開された「007/サンダーボール作戦」と「100発100中」。タイトルロゴ、構図ともに、非常によく似ている…。100発ガールの浜美枝は、翌年、本家007シリーズの次回作「007は二度死ぬ」にボンドガールとして出演する事となる!
  さらに、硝酸入りウィスキーのポケットボトルを使い、硝酸を投げかけるバーテンのような芸を持った殺し屋、平田昭彦。いかにも的な怪しい日本語をしゃべる中国人、多々良純といった、すこぶる劇画的でオーバーアクトなキャラクター達が、香港から日本、そしてマニラへと渡る拳銃密売ルートを舞台に、笑いと洒落っ気たっぷりなスパイアクションを繰り広げるのである。
 

100発100中 <TLL2227>
国内盤LD 93分
1994年7月1日東宝

もともと本作は、前年1964年の10月に国内公開されたフィリップ・ド・ブロカ監督の「リオの男」(63年)にインスパイアされて製作されたもの(…もちろん大元は、007シリーズの亜流ではあるが)。
「リオの男」は、いわゆる巻き込まれ型のフレンチアクションコメディ映画の大ヒット作で、「100発100中」のフランス風エスプリの効いたコメディ感覚は、明らかに「リオの男」と同系列のものである。

また、「リオの男」主演のジャン=ポール・ベルモンドの長い手足を生かした、そのアクションは、アニメ版「ルパン三世」のモデルともなったといわれ、実際、「リオの男」がテレビ放送された際には、ジャン=ポール・ベルモンドの吹替えは山田康雄が担当し、かなり「ルパン三世」調のイメージであった。

そして、面白い事に「ルパン三世」の峰不二子と銭形警部のキャラクター設定は、「100発100中」のセクシー爆弾娘、沢田ユミと日本警視庁の手塚部長刑事に酷似している。
「ルパン三世」が漫画アクションに連載開始されたのが「100発100中」公開の1年8か月後の1967年8月という事だから、これはもう明らか…。
「無」から「有」は生まれないというが、「007」「リオの男」から「100発100中」、そして「ルパン三世」へと繋がるビッグヒットへの道程は、いい意味での引用効果が連鎖反応的に働いた結果といえる。

「100発100中」の製作者、田中友幸の時代を読む嗅覚がいかに優れていたかという事がわかる話だが、まぁ、そんな話は抜きにしても、「100発100中」の娯楽アクション映画としての面白さには、もっと正当な評価があって然るべきものであるが…。


リオの男 <POLV3011>国内盤LD
113分 1991年4月25日ポリドール
アマゾンの3つの小像を巡る「レイダース」の元ネタともいわれている「リオの男」。
スタントを使わないジャン=ポール・ベルモンドの体を張った熱演、美人だが天然っぽいコミカルなフランソワーズ・ドルレアック(カトリーヌ・ドヌーブの実姉)の魅力。サスペンスや激しいアクションを楽しむ映画というより、あれよあれよ、という間に展開されるスラップスティックな追跡劇が最大の魅力だ。
  プラスチック爆弾や青酸ガスライターといった、スパイ映画には付き物の小道具が物語の伏線になっているのも都筑道夫・岡本喜八の脚本の妙だ。
火のついたマッチを空のドラム缶に投げ入れドラム缶が次々と空中に舞い上がるという、敵のアジトでの逆転劇は、ドラム缶の中に残った気化したオイルを利用した作戦であったとの事。脚本の段階では手塚部長刑事(有島一郎)が、沢田ユミ(浜美枝)に、この作戦の説明をするシーンがあったというが何故かカットされてしまったようだ…。

また、ワールドワイドな映画のようだが、実の所海外ロケは一切なく、フィリピンの島は伊豆の下田、フィリピンの警察は横浜の日米会館。国際秘密警察シリーズのオープンセットも堂々と流用している。
さらに、ポスターに写っているアンドリュー星野こと宝田明が手にしているライフル銃は、脚本の岡本喜八が、当時、三船敏郎から貰った本物のライフル銃マーリン。 映画のクライマックスでアンドリュー星野が、その銃を使った後(もちろん格好だけで、実際には撃ってはいないが…)、横にとびでた薬莢を右手でパッとつかみ、キスをしてポケットにしまうという粋な仕草を見せるが、この仕草の元ネタは東京オリンピックのライフル競技で、外国の選手が実際にやった事によるものらしい…。(※ナイスな解説が満載の東宝ゴクラク座LDシリーズ購入特典「ゴクラク読本」による)

音楽は佐藤勝。デビュー仕立ての布施明の唄う主題歌も、60年代のスパイ活劇風の雰囲気があってなかなかカッコいい(…シャボン玉ホリデーで歌っている映像はこのLDで見られる→)。

1968年3月には、続編「100発100中 黄金の眼」も製作されたが、こちらは未LD化。(2005.03.12時点)

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●本家007シリーズ第4作 007/サンダーボール作戦
 
007/サンダーボール作戦
国内盤LD ワイドサイズ 
1993年1月25日
WHV/LDC 130分<NJEL-52729>
台詞と音楽が劇場公開版と微妙に違うビデオ版収録。後にリリースされたスペシャルコレクション版LDとDVDの本編は、劇場公開版に復元されたものとなるためビデオ版は本LDで見納めとなる。
ビデオ版と劇場公開版で、大きく違うのがエンドクレジットにかぶさるテーマ曲。ビデオ版はサンダーボール作戦のテーマだが、劇場公開版は「ジェームズ・ボンドのテーマ」曲となる。
007/サンダーボール作戦
国内スペシャルコレクション版LD 
1997年3月21日
LDC 280分<PILF-2330>
劇場公開版初リリース。ビデオ版との違いは本スペコレ版の映像資料集や解説書で説明されている(※DVD特典映像の「“サンダーボール作戦”裏情報」はこの映像から抜粋されたもの)。
DVD収録の本編映像も劇場公開版だが、ボンドがプールの鮫から逃がれて言う台詞が、字幕のみ「悪いな また今度」ではなく、「ラーゴによろしくな」のままでビデオ版の字幕と同じ。また、本スペコレ版LDのみでしかみられない映像資料なども多数収録されている。
●ルパン三世
LUPIN THE THIRD first tv.
DVD-BOX
2001年7月4日 バップ
575分 <VPBY-11902>
1971年10月、日本テレビ系で放映された記念すべき「ルパン三世」のファーストTVシリーズBOXセット。全23話収録。30000セット限定生産限定。
   
 
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